宮崎おさかな紀行

おさかな大好き大学院生のブログ

幻と言われた宮崎県のアカメ(論文紹介)

の魚、怪魚などの異名を持ち、多くの釣り人が追い求めるアカメ。

本種は日本固有種で、近年は日本本土の暖温帯各地で見つかっているものの、宮崎県と高知県が主な分布域とされております。

大淀川学習館に展示されていたアカメの魚拓(?)

ちゃんと目が紅く表現されていた。

 

この魚、小さいときは河川の汽水域が必須で、その中でも藻場(コアマモなどの海草が生えている場所)が重要な成育場とされています。

この汽水域環境や藻場が開発などの影響で悪化・減少したことなどを踏まえ、宮崎県では2006年より本種の許可なしの捕獲等が禁止されています。

(実際当時はアカメの個体数も相当減っていたそうです)

www.pref.miyazaki.lg.jp

 

本種に規制がかかったことは良いとして、規制をかけて保護するからには規制後の個体数の変化などの調査が求められます。

しかし、2006年以降アカメの宮崎県の調査報告などはなく、ただただ条例を定めただけの状態になっていました......

 

そこで2015年から許可を取ったうえでアカメの採集をしていた僕らの研究室のデータだけでも公表しておこうと思い、今回宮崎県のアカメ情報を更新した報告を出させていただきました(以下のリンクより読めます)。

https://www.researchgate.net/publication/376892747_Reexamination_of_records_of_Lates_japonicus_Teleostei_Latidae_from_Miyazaki_Prefecture_southern_Japan_with_notes_on_monitoring_method_gongqixianyananniokeruakamesuzukimuyuleinochuxianjiluoyobimonitari

 

大雑把に内容を紹介すると、

 

①2006年以前に知られていた箇所全部での調査は無理、しかしそのうちいくつかの地点では2015年以降も確認できた

②2006年以前知られていなかった場所でも新たに確認できた箇所あり

③採集の許可を取っていない箇所でも、水上から一切触れずに撮った写真が証拠になる

 

となります。

 

現状では宮崎県での本種の採集は禁止されてますが、もしリリースを条件に採集許可が出れば、釣り人たちと協力して本種の情報を備蓄できそうです。

そのため今一度規制の見直しが必要だと考えております。

ただし、リリース後の生存率などもしっかり考慮する必要がありそうです。

 

あと、根本的に本種は大型で存在感や認知度が高いのでこのような扱いをされておりますが、もっと環境変化に弱い種は魚に限らずたくさんいると思います。

今後我々ヒトの活動によりそのような種が見ず知らずのうちに消えないようにしていくことも考えていかないといけませんね。