今日はいつもの漁師さんから定置網で獲れた魚と、淡水魚を頂けることになりました。淡水魚はどうやら、息子さんたちが昨日採集してくれたみたいです。先日も息子さんたちが採集してくれたドジョウをいただいたばかりだったので、魚採集にはまってるのかもしれないですね。
淡水魚は生きていたので早速確認すると、小ブナとメダカ、その他オイカワやカワムツがいました。
その中でも特にメダカにテンションが上がりました!
パッと見、メダカにしては相当大きく、春先なので婚姻色(繁殖期の色)が出てるかもということと、これまで確認していなかった場所で採れたということで、ルンルンで実験所に向かいました。
これまでさんざん色々な魚の標本写真撮ってきて、その分たくさんの人の写真も見てきましたが、神奈川県博の瀬能先生が撮影したメダカの写真ほど感動したものはないです。
いつかはその先生の写真に近いものが撮れるように、と技術を磨いてきました。これまで何度かはメダカの写真に挑戦してきましたが、まだ瀬能先生の写真には及んではいないと思っていました。なので今回こそはと意気込み、作業を行いました。
まずはひれ立て作業。
これに関しては正直かなり得意で、1cmくらいの魚なら顕微鏡さえあれば余裕です。
今回のメダカは大きいので、全く苦戦しないと思っていましたが、なぜか1個体、尾びれがほとんど開きません。時期的なもの?個体差?麻酔のせい?などいくつか理由は考えられますが、いずれにせよ無理やりすると破けるのでできる範囲で広げて固定しました。
そしてひれが固まったのを確認して、撮影へ。
すんなり撮影できるかなと思ったら、魚体が水に沈みません。ひれ立ての前に注射針で空気抜きしたにもかかわらず、浮き始めました。しかも2個体とも.....
尾びれがうまく開かなかった個体は何度か試したら空気が抜けましたが、あと1個体は全く抜けずにかなり苦戦しました。
ようやく撮影開始ができた時には、少し疲れてしまいました笑
撮影は基本的に、水を張った水槽に魚を入れ撮影します。こうすることで魚特有のぬめりによる反射が防げます。
その際、同じ個体でも水槽の下に黒い布や白い板を入れ、背景色を何パターンか変えて写真を撮ります。大半の魚はひれが透明なので、背景色によって色が多少変化します。こうすることで、図鑑などで魚の魚体のみを切り抜いて使う際に、色んな背景の写真があったほうが違和感なく載せられる方を選べます。
また、黒背景のような暗色は魚の輪郭や地味な模様もくっきり見せられるメリットが、白背景のような明色は人が見たまま色に近い状態を残せまるという利点があります。
今回も黒背景と白背景それぞれで撮影しました。
まずは黒背景の写真からどうぞ。
黒背景はいかにも魚図鑑という感じで、どんな魚でもかっこよくなると思っています。今回のメダカも例にもれず、相当美しく撮れました。
次に白背景の写真です。
この白背景こそが難しいのです。光の当て方によっては反射などで白くなりすぎて色飛びするので、結構試行錯誤して撮らないといけません。
今回はこれまで自分で撮ってきたメダカの中ではトップクラスにうまくいったと思います。
ただ空気抜きなどの苦戦が無かったらもっといい写真に出来たと思うと少し悔やまれます。あと1個体は相当状態もよかったのに、空気抜きで苦戦してる間に体が曲がってしまいました。残念....
一緒にいただいたギンブナも標本にしました。
この魚は白背景が抜群に合います。
一般に地味と言われる日本の淡水魚ですが、淡い色やグラデーションが美しいものばかりで、見ていて全く飽きないです。
他にも、定置網の魚も標本に。
ダイコクサギフエは幼魚の時は意外と浅場で獲れるみたいですね。
そしてこの魚が難しい。
多分ニセタカサゴだけど、タカサゴとの交雑であったり、似た種類が多かったりと、中々確定できません。このクマササハナムロ属の魚はいつも苦戦します笑
というわけで今日はこの辺にします。
いよいよ明日から新年度ですね。
本業の方の研究も頑張ります~