春になったので、最近は何が獲れるのかが気になり、漁港に行きました。
春とはいえ、小雨の降っている朝は太陽の恩恵も少なく、白い吐息が出る寒さ。
ただ、一か月ほど前とは異なり、競り場にはたくさんの魚が並んでいました。
競り場にある活かしの魚を入れておくタンクの中に、これまで見たことのないものがいました。
最大で4mにもなると言われているタカアシガニです。
深い水深帯(250m~)にいるカニなので、底曳網(~100m)で獲れるのは珍しいとおもいます。実際僕も、水族館などで展示されている以外で初めてみました。
普段獲れない魚介類は売れないことが多いので、なぜ活かしてあるのかが疑問でした。
そこでいつもお世話になっている漁師さんに聞いたところ、お店の水槽(海鮮系の飲食店かな?)に飾ると見栄えが良いから売れるとのことでした。
たしかにこれが入っていると見ちゃいますよね。
子どもの時からそういうお店の水槽見るの好きで、ずっと張り付いてたのを思い出しました笑
そしてこのカニ、味が気になったので調べてみたところ、ぼうずコンニャクさんのページには美味しいと書いております。
いつか食べてみたいですね。
そうして競り場を歩き回って写真撮ったりしているうちにも、どんどん船が帰ってきます。珍しい魚は食用にならないものも多く、水揚げ時に捨てられることがあるので、選別している所を見に行きます。
夏みたいに種類が多いわけではないですが、それなりの量の魚が獲れていました。
選別していて食用にならない魚たちが集められる箱の中から、珍しい魚を探します。今日はすでに魚に詳しい漁師さんがめぼしいものを分けていてくれてました。
その中で、いつもは冷凍でもらう魚がいたので、新鮮なうちに標本にすることにしました。上の写真の中のどれだと思いますか?
正解は真ん中の黒い魚です。
と言っても魚に見えませんよね笑
この魚、セミホウボウという35cmほどになる魚です。味は酸っぱいらしく、あんまり食用にはなりません。
ただダイビングなどで人気があり、特に今回のような幼魚サイズはダイバーたちの被写体として大人気です。
なぜ人気なのかといいますと...
この写真のようなポーズをとってくれるからです!
ダイビングで人気のある魚は基本、見た目が派手な種類が多いです。
セミホウボウも大きな胸びれを広げて、海底付近を這うように泳ぐ姿が非常に派手な上に、泳ぐスピードもそんなに速くはないので、被写体には最適な魚だと思います。
いつか海の中で出会ってみたいです!
胸びれを広げた写真が撮れたので、今度は横から。
横からだと少しは魚っぽさが出ますね(顔は昆虫みたいですが)。
せっかく標本にするなら数個体同時にしたいと思い、過去に獲れて漁師さんが冷凍してくださっていた魚が入った袋の中から、「オニゴチ」っぽい見た目の魚がちらっと見えたので解かすことに。以前に底曳網の漁獲物からオニゴチは見つけて標本にしたので、雰囲気で覚えていました。
袋には、定置網で獲れたと情報が書いてあったので、もしこの魚がオニゴチなら浅場での標本は初となります。
解凍してすぐに、オニゴチであることが分かったので、標本にしました。
体が赤みがかっていて、腹びれの先が少し黄色っぽいのが好きです。
コチ科の魚はひれを立てるまでは地味な見た目の種類が多いですが、ひれを立てると途端にかっこよく化けるので好きです!
特にオニゴチなどの小型のコチ類は、かっこよさと可愛さが絶妙に混在していてたまりません。
オニゴチの次は、ドジョウを標本にしました。
え?なんでドジョウ?と思われるかと思いますが、実は昨日漁師さんの息子さんたちが捕まえてきたドジョウなんです。
しかも僕らが調査地にしている門川町にいた個体です。門川町にドジョウがいるなんて、全く知りませんでした。さんざん採集に行って調べてきたつもりでしたが、まだまだいろんな魚がいるようですね。
この漁師さんは日本でもトップクラスに魚に詳しい方で、これまで何種もの日本初記録の魚を見つけています。
息子さんたちもお父さんの背中を見て、魚や自然が大好きな子になってほしいと勝手に期待しております笑笑
今回は以上です。また次回をお楽しみに~