家に帰って掃除やらギター練習やらをして、そのあと久々にお酒でも飲もうかと思って帰宅した昨日。それらを実行して、気持ちよくウィスキー飲んでいたら後輩から電話がきました。
その後輩、釣りに行くと言っていたので何か釣れたのかなと思って電話に出ました。すると、横で釣りしてた人がすごいの釣ったので、標本にするの手伝ってくださいとお願いされました。
酒飲んでるから運転できない、だから迎えに来てくれるならいいよと言うと、10分くらいですぐ迎えに来ました。車に乗るとクーラーボックスの中で何かが動く音と、ほのかにアンモニア臭さがしていました。
ここまで書くと魚好きの方なら大体何の仲間の魚か想像がつくと思います。
実験所に着いて、クーラーを開けるとそこにはシュモクザメがいました。80cmくらいですが、まだまだ子供サイズ。サメなので、すでにアンモニア臭がしています。
さて、じゃあ標本にしましょうかと酔っぱらいながら写真撮影の準備をしました。
サメの写真は個人的に、背中から、お腹から、真横からの3ポーズは撮るようにしています。実際に以前に共著で出した記録論文(※1)でもそのように撮って図にしました。
真横から撮るときは、ひれを立てるとかっこいいのですが、それ以外の2パターンはそのまま置いて写真を撮ります。
今回のシュモクザメも、まずはひれを立てなくていい背中側とお腹側から写真を撮りました。
かっこいいですね。ここまでは順調です(お腹側は少し手間がかかりましたが...)。
ただ、次からが中々に厄介でした。
しっかりと真横を向いた写真が撮りたいと思っても、これだけ頭が飛び出た魚でそれを撮るには少し工夫が必要です。
その工夫とは、写真には写らない側(地面に着く側)の下に発泡スチロール片を敷き、ひたすらバランスを取るというものです。
簡単なようですが、できるだけ写真に発泡スチロールが写らないようしつつ、倒れないようにバランスをとる作業なので、相当根気が必要でした(特に酔っ払いには笑)。
そしてようやく撮れたのが下の写真。
良い!個人的には満点の写真です。
シュモクザメの仲間の真横からの写真が載っている図鑑はたくさんあります。例えば魚の分類で有名な、鹿児島大学総合研究博物館の出版している図鑑は特にきれいなので、ぜひ見てほしいです(ここが出版している大半の図鑑は以下のリンクから無料でダウンロードできます)。
https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/dl.html
ただこの真横からの写真は、背側、腹側の写真がないとシュモクザメとは分からないという弱点があります。
この弱点を踏まえ、もっと分かりやすい横からの写真を撮った先生もいます。その先生とは神奈川県立博物館の魚類の分類などを専門にされている瀬能先生で、標本の写真撮影技術は世界トップクラスの方です。
僕らが出版してきた門川の魚図鑑(※2、※3)に載っているアカシュモクザメの写真はその先生が撮ったものです。
そこで今回は、その写真をまねして撮ってみました。
上の画像が今回撮った写真になります。
真横ではないものの、シュモクザメらしさが残っています。しかも、種類を判別する際のキーとなる頭の形がしっかり写ったコンパクトな写真です。
さらに、ひれを立てる必要がないので、簡単に撮影できるのもメリットです。
今後シュモクザメの写真は背側、腹側、真横、に加え最後の斜めからも撮っておくとよさそうですね。
とはいえ結局のところ、どの写真が正解なんて無いです。今の時代はカメラの性能もよく、簡単に撮影でき、画像の保管も楽なので、いろんな角度から撮ることができます。
なので今後も色んな写真をたくさん撮っていきたいと思います。
※1:中島田ほか.2020.宮崎県沿岸から得られた標本に基づくメジロザメ科魚類ハナザメの記録.Nature of Kagoshima 47:1–4.
https://journal.kagoshima-nature.org/archives/NK_047/047-001.pdf
※2:村瀬ほか.2019.宮崎県のさかなのまち 門川の魚図鑑.宮崎大学延岡フィールド.
※3:村瀬ほか.2021.新・門川の魚図鑑 ひむかの海の魚たち.宮崎大学延岡フィールド.