シロウオっていう踊り食いされることで知られる魚がいます。ついこの前の記事で載せたこの魚ですが、どうしても自然の状態を観察したくて、先週末の12日に門川町のとある川へ行ってきました。
以前のシロウオの記事は以下より。
まず、川の河口域へ。
海から上ってくる様子でも撮れたらいいなと思い行ってみました。海に近いし暖かいだろうと思って足だけつけてみましたが、一瞬でやる気が失せるくらいに水が冷たい...
ためらいながらも一気に飛び込み、水の中を見るともやもやっとしてました。やっぱり海水と淡水が混ざるとこうなるよね、でもシロウオ板として写真撮れない気がするとか考えながらしばらく探しました。
しかし、どこを探してもチチブのようなハゼの仲間しかおらず断念。
場所を変えることにしました。
次の場所は中流域にしました。
この時点で正直、シロウオ観察はあきらめていました。他の淡水の魚を捕まえたり、写真を撮ったりしていました。
まだ春先ですが、10cmくらいのアユがいたりして、シロウオなんて忘れていました笑
そんな感じで魚採りしてると、なんとシロウオが網に入りました!
全く想定外で、一緒に行ってた後輩と何でここにいるの!と興奮気味に話しました。
この場所の少し上には結構大きな堰(ダムの小さいバージョン)があり、おそらくアユのような泳ぎが得意な魚やヨシノボリ類やボウズハゼのように吸盤などで張り付いて上るタイプの魚しか上流には行けません。なのでこの堰の下流が感潮域となります。
シロウオは春先に河川の感潮域で産卵する魚です。砂礫底の場所が産卵場所のようで、オスが巣を作りメスはその巣で産卵する魚です(※1)。
偶然魚採りに来たこの場所こそ、感潮域で砂礫がたまっているという、シロウオの産卵場所だったようです。
ってことはもしかしたら群れがいて、撮影チャンスかもと思いましたが、中々見つけられません。群れがいないなら単体のシロウオでもいいから写真を撮ろうと思い頑張りますが、相手は透明な魚、かなり苦戦しました。
いたとしても一瞬で見失う、なかなか止まってくれない、透明なのでピントが合いづらい...といったさまざまな困難に立ち向かいました(大げさ)。
そして苦戦して編み出したのが以下の戦術。
網で捕まえてからその場に放して、その瞬間にシャッターを押すというものです。
これによってようやく撮れました。
半やらせ写真ですがどうかご勘弁を(笑)
撮影が終わった後、数個体は確保して標本にすることに。
の前に一旦、お昼ご飯(なお16時過ぎ)。こういう時は安くて量のあるすき屋一択。
新メニューの豚カルビ丼を食って元気になった後、標本作成のため実験所に戻りました。
標本にする際に、意地でもきれいな写真が撮りたいとなり、こだわりすぎてかなり時間がかかりました。
何にこだわったかというと、光の反射です。
シロウオですが、泳いでいるときにたまに虹色に輝くのです。これは光の反射によるものだと思い、反射の瞬間を写真に残そうと後輩と頑張りました。後輩が物理相当得意な方で、色々試行錯誤しながらようやく光らせ方が分かり、残せた写真がこれです。
どうでしょうか。
完璧な虹色ですね。自分で撮っておきながらしばらく興奮しました。
シロウオは中層あたりを漂う魚ですが、この反射をうまく使って、海や川の中でほかの魚から見えづらいようにして生き残ってきたのかなとか考えてます。
この美しい生き物が、河川の開発などにより見れなくなりませんように。
※1:松井.1986.シロウオの生態と増殖に関する研究.九州大學農藝部學藝雜誌 40:135–174.
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030343128.pdf